染まるよ



...03



「・・・というわけなんです」

彼らはこの世界での警察らしく(確か新選組も特別警察かなんかだった気がする)、
私は一応食い逃げの容疑にかけられて事情聴取されることになった。
喫茶店を出た後、乗せられたパトカーに真選組と書いてあって新選組とは違うことに気づいた。
そんなこんなで今は真選組屯所(警察署という意味らしい)の取調べ室で
さっきの二人に鞄の中の物を証拠に事情を話していたところだ。

「では さん。まとめますと、あなたは昨夜友人と食事のあとおそらく酒に酔い記憶をなくし、
 気づいたら知らない場所、江戸ですね、そこにいたと」
「はい」
「あなたがいたところでは、天人なしで独自の発展により江戸並みの発展をしていて
 宇宙の国際関係については未発達ということですね」

私が頷くとマヨネーズ男がため息をついた。

「あんたは違う世界から来たというが、俺らから見ればこれは宇宙規模の迷子だな」
「迷子?」
「ああ、あんたはどっかの星からここに飛ばされたんだ。よくある話だ。
 あんたの星じゃ信じられないことだと思うがな」
「じゃ、じゃあ帰れるってことですか!?」

思わず立ち上がる。

「いや、あんたの星は外交があまり発達してない。たぶんまだ他の星の人間には発見されてねえな」
「じゃあ、つまり・・・」
「大丈夫ですよ、100パーセント帰れないというわけではありませんから」

マヨのとなりにいた男が微笑んだ。

「でもどうしましょう副長。帰そうにも帰す場所がありません」
「んなこたあわかってるよ」
「あ、あの」

二人の会話を遮った。

「なんだ?」
「私、もう食い逃げの罪は免れたんでしょうか」
「そのことか」

マヨ男は笑った。

「元々そんなつもりで連れてきてねえよ」
「え?」
「元々食い逃げは真選組の管轄外なんです。真選組は特別警察ですし」
「ありがとうございます!」

 真選組も特別警察なのか。そしてふと思う。
いくら宇宙規模であっても関係ない星同士がこんなに仕組みや名称が似てくるものなのだろうか。

「それよりどうしましょう、副長」
「近藤さんに相談するか。 、ついて来い」


私が事実を知るのは、少し後のことである。


2009-03-09