染まるよ



...18



「休みたい?」

の突然の申し出に、近藤は驚いた。
無理やり休みを取らせていたぐらいなのに、彼女自身から申し出があるとは。

「どうしたんだ、いきなり」
「だめ・・・ですか?」

そう言うと、は俯く。

「いいだろ、近藤さん」

横で煙草を吸っていた土方が言った。

「こいつ疲れてんだ。このまえの攘夷派の救護で、いままで見たことねえもんたくさん見てよ」

は驚いたように土方を見た。
なんでわかるの、といわんばかりに。
土方はそれに答えるように、煙を吐いた。

「いや、もちろんだめなんてことはないよ。そういうことなら、この三ヶ月頑張った分しっかり休むといい」
「あ、ありがとうございます」
「休んでる間、どうするんだい?」

「ええっと・・・」




パトカーが見えると、神楽は道路に飛び出た。
!よく来たネ!」
「てっめ危ねぇだろ!」
「うっさいネ、マヨラー。てめえのちんたらした運転で私が惚れると思ったら大間違いネ」
「思わねーよ!」
「神楽ちゃーん!!」

ガラス越しに睨み合う二人の間を破るようには名前を呼んだ。

「お、来たか」
さん、土方さんこんにちは」

万事屋の玄関に銀時と新八が立っていた。
土方はパトカーから出て見上げる。

「悪ィな、万事屋。こいつが世話になる」
「いいけどよ、このへんはちゃんともらうかんなあ」
「銀ちゃん!は友達ネ!友達から金たかるなんて悪ヨ!」
「なにいってんだ、これは依頼も入ってんの!」
「依頼?」
「おい、万事屋」

焦ったように煙草を踏み潰す土方に、銀時はため息をついた。

「土方くぅん、親バカもたいがいにしとけよー、可愛くて仕方ないのはわかるけどよお、
 こういうのは本人がちゃんとわかってねえと」
「うっせえな。ったく、、お前は一応攘夷浪士に狙われてる身だ。だから一応警備として万事屋雇ってあるから、安心しろ」
「言い方甘いんじゃないのお、土方くーん」
「え、じゃあお金真選組が払ってるの?だめだよ!私が勝手に外に・・・」

帰ると言わんばかりに不安そうな顔をするに、土方はいいか、と言った。

「それを言うなら、俺たちが勝手にお前を保護してんだ。勝手にお前を屯所に閉じ込めて、好きに外にも行けなくしてる」
「・・・なんか、違う気がする・・・」
「いい。まあこいつら見て自分に自信がついたら帰って来い」
「おいてめーそれどーいう意味だコラ」
「そのまんまの意味だコラ」
「まあまあ二人とも。ここで話すのもなんですから、中に入ってください」
「いや、俺はここで帰る。万事屋、てめーうちのに手出すんじゃねえぞコラ」
「おうおう誰が出すかコラ」
「ああ!?」
「ちょっとさんも参戦しないで中に入ってきてください」


神楽に荷物と手をひっぱられ、は万事屋の中に入っていく。

「ココが万事屋ネ。ここは玄関!」
「はいはい見ればわかるから中に入りなさーい」

浮かれる神楽を促してを部屋に入れる。
初めて入るのに、どこか懐かしい部屋。
の頬は安心したように緩んでいた。



2009-04-05